隣の女子高生たちが、悲鳴をあげて騒ぎ出した。
「さいっあく!!何今の車!?」
………。
じわり、と、水に侵食されている靴下、ローファ、そしてスカート。
どうやら、先ほど通った大型の車が、思いっきりお水をかけていってくれたらしい。
「……濡れた……」
「許さねぇ…」
ズボン、スカートまで泥が跳ねてる状態で、お店に入るのは少しためらわれた。
本当、今日はついてないなあ…。
「あ――、仕方ないな」
「…?」
突然、わしゃわしゃと髪をかき乱す飛呂くん。
「ヒヨコ、走るよ」
「え?」
「いーから!3分だけ、走って!」
「ええ!?」
バサッと何かが掛けられた。
…これは、飛呂くんの、タオル?
でも、そんなこと、確認できないうちに、
「ヒヨコ、こっち」
いつの間にかわたしの手は飛呂くんにとられ、雨の中を走っていた。