「ひ、飛呂くん」
「んあ?」
「ご、ごめん、あの、傘が開かない…」
「は!?」
いつも持ち歩いている傘の思わぬ反抗期に、アタフタするわたし。
えー、もう使ってだいぶ経つし、壊れちゃった!?
「ヒヨコお前な…」
「ご、ごめん………!!」
まぁ、持ってこなかった俺も悪いからいいけど…、と言いながら、びくともしない傘をなんとか開こうと試行錯誤する飛呂くん。
お店の入り口には、突然の雨に驚いて、雨宿りする人たちで溢れかえっていた。
「はぁ、開かねぇ。もう仕方ない、もう少しこの店の中にいてちょっと様子見よう」
「そ、そうだね、本当ごめ………」
バシャァァアアア………!
「……」
「……」
………え。