…なんだ、もう帰っちゃうんだ…。

わたしは、別に土砂降りの中帰っても大丈夫なのに。


「行こう、ケーキは…、また来よ」

「ん」


お会計を済ませて、帰る準備をする。

一緒にお店にいた高校生たちも、天気を不安がって、そろそろとお店を出て行った。



えーっと…折り畳み傘…あ、あった。


折り畳み傘の存在を確認して。
カバーをとって、中身を取り出した、その時。


「……あ」



ザァァアアアアア………!


突然、そして、タイミングよく振り出した雨。

これは、やっぱり、そうとうの水分を含んでいたらしい。

とても、とても強い雨だった。



「はー。まじかよ。めんどくせぇな」


隣で飛呂くんがうなだれる。

わたしは、急いで手元にある折り畳み傘を開こうとする。


……けど。


「…あれ?」


小さく縮こまったお気に入りの折り畳み傘は、びくともしてくれない。


え、うそ、なんで?