「雨宮くんだって、君花のこと好きだったら、そういうことしたいって思うことだってあるかもしれないでしょ。でも君花がそうやって飛呂くんはそんなことしないよ!って言ってると、雨宮くん、傷ついてしまうと思うよ」

「……傷つく?」

「そう」

「…」


そういう、ものなのかな。

なんていうか、飛呂くんは、今までの彼氏と違って、いつもわたしの一歩前を歩いている感じなんだ。

今までみたいに、同じ目線にいない、そんな感じ。

わたしはいつも幼い子どもみたいに思われている感じがして、だからこそ、飛呂くんとそういうことをする想像はあまりできなかった。


…もちろん、そういう飛呂くんを、見てみたいって気持ちはあるけれど。


「ま、君花が思っているより、雨宮くんはそんなに大人でもないと思うけどな!」

「え?なんで?」

「って、高橋が言ってた」

「高橋くんが?ていうか、アニカと高橋くん本当仲良しだね」

「へへへ」


…もうすぐ、高校生最後の夏休みがやってくる。

飛呂くんとは、これからどんな道を歩んでいくのか。


ま、その前に、目の前の期末を倒さなきゃいけないんだけどね。

そう言ったら、またアニカが崩れ落ちた。