「なんだ~。わたしたちの見ていないところでもっとイチャイチャしてるのかと期待していたのに」
「え!?イチャイチャ!?」
ななななななにを言ってるのアニカ……!
「そんなことしないよ!だって飛呂くんだよ!?」
あんなにクールで顔色ひとつ変えない彼が…。
あ、でもこの間少しだけ顔を赤くしてたな。
「…あのねぇ、君花」
恥ずかしくてばたばたしているわたしを、アニカは少し呆れた顔で見ていた。
今までなんとなく勉強していた古典のノートがパタリと閉じられている。
「そういうこと、雨宮くんの前で言っちゃだめよ」
そうして、頭をぽんっと叩かれる。
「え、なんで?」
「なんでって…。何もしないって、君花がそんなこと言ってると、雨宮くんは本当になにもできなくなってしまうでしょ?」
「…うん……?」