「君花、どうせなら、楽しい話をしようよ」

「え?」


楽しい話?


「そそ♡ねぇ、雨宮くんって、君花といる時はどんな感じなの?」


アニカは、ずいっと身体をわたしの方に向ける。

きれいな顔が目の前にくると、いつもドキッとしてしまう。

アニカは、本当に美人だと思う。



「アニカ、近いよ!」

「いいじゃん!ね、どんな感じなの?」


どんな感じ…?飛呂くんが??

わたしといるときの、飛呂くん…。


顔は、よく感情が読めない顔をしている。
これはアニカや高橋くんといる時も同じだ。

ふたりでいても、部活の話とか、委員会の話とか、学校での話をするだけ。
名前も、『ヒヨコ』って呼ぶのは、アニカたちの前でも同じだし…。


う~ん……。


「べつに、いつも通りだと思うよ」

「え~?うそじゃん~」


ばたりと机に突っ伏すアニカ。

再び飛呂くんのことを思い出してみるけど、やっぱり態度や表情はアニカたちの前とはあまり変わらない。