「あんなに朔ちゃん朔ちゃんだった君花が、ここまで頻繁に飛呂くんと一緒にいるようになるとはね」
「そうかなぁ」
「そうだよ、なんだかんだ幸せそうだもんね、君花」
「…」
それは、わたし自身も驚いてるところではある。
今まで付き合った人はいても、朔ちゃんとの時間をおろそかにしたことはなかったし、それより何より、彼氏と放課後に約束をして、そのひとを待つということはほとんどなかった。
『君花は、俺より優先できる人じゃないとだめだね』
「……」
いつか、朔ちゃんに言われた言葉を思い出す。
朔ちゃんは、朔ちゃんよりも優先出来る人ではないと、わたしは本気で恋をすることはできないと言った。
わたしは、今やっと、本気の恋をしているのかな。
…なんて、考えてしまう。