「……おい。」
私の横に戻ってきた。
けれど、私はもっと早歩きで
前を歩き距離を遠ざける。
「…………梨々香。」
彼が、また私の横に戻ってきた。
私の手を掴むがそれを払い
もっと前を歩く。
「…………梨々香ごめんって。」
また私の横に戻ってくる。
私はまた早歩きで前を行く。
「……なぁ、マジで怒ってる?」
彼がまた横に戻ってきた。
そんな繰り返しをしていた私は
可笑しくなって思わず笑った。
『うぅんっ。怒ってない。』
私は笑って彼を見上げてそう言った。
「んだよ。超焦ったし…。」
彼はガシガシと左手で金髪の頭を掻くと
また右手を出し私の手を握った。
それから校門をくぐり
下駄箱にむかった。