「先生ーお久しぶりですー」
「もお、すっごい会いたかったんですよ!」
「夏休みはどうしてたんですかあ?」

先生が教室に入ってくるなり、
取り囲むファンクラブの方々。

…あんなに取り囲んだら、
授業はじめられないでしょ?

一人ずつ話せよ。
先生の迷惑とか考えないの?

そんなふうに非難的なことを、
どうしても考えてしまい、

私の方がまだ先生のことを考えているから、
あんなふうに先生に迷惑はかけない
なんて思ってしまうけど、

「お!お前ら久しぶりー
あれ?なんか焼けた?
さては海言ったなー?」

「え?わかります?
やだ、どうしよう!
結構がんばって日焼け止め塗ったのに」

「いいじゃん!黒いのも似合ってるよ!
美黒って言うんだっけ?」

「そうですか?ありがとうございます。」

「先生ー!私は海外行ってきたんですー
これ、お土産!どうぞー!」

「お、マジで?さんきゅ!
海外ってどこ行ったんだ?」

こんな感じで囲まれた先生は、
楽しそうにおしゃべりしている。

ちゃらちゃらしちゃって、
このチャラ男が!
昔、木から落ちたことあるくせに。

そんなとこでへらへら笑って話してないで、
さっさと授業始めなさいよ。

私の機嫌はどんどん悪くなっていった。