「次、日本史だあ!」
「久々の谷中先生だね!」
「ああ、テンション上がるー」
「夏休みで谷中不足が深刻だったもん!
早く谷中充したい!」

谷中不足って…
谷中充って…

二学期最初の日本史授業の前。
ファンクラブの方々は沸き上がっていた。

相変わらず、先生はすごい人気だ。
なんか、心なしか皆さん、
スカート丈とか髪の毛とか
きちんと整えてるし…

なんか、一学期より気合い入ってるし…
いや、
一学期は私が気にしてなかったから
気づかなかっただけかも。

今は滅茶苦茶気になってしまうのは、
多分、私が先生を好きだから。

今まではただ馬鹿にしてただけだけど、
今は少しライバル視してしまう。

あの子たちよりは、
自分の方が先生のことを真剣に好きだ。

私はあの子たちほど、
バカっぽくはないはずだ。

あの子たちとは違う。

はたからみれば同じようなものなのに、
自分の方が上であると、
どうしても考えたくなってしまう。

そんな自分が嫌だった。