優香さんと私も、すっかり打ち解けていた。

"おかあさん"って思わなくなって以来、
何かが楽になって、

優香さんとは年の離れた友達同士とも
思えるようになった。


旅行に来て良かったな。

心からそう思える。

私と家族との距離が縮まった気がする。


なんて思っていたら、
突然、

「凛、一也、実は大事な話があるんだ。」

とお父さんが切り出した。

「どしたの?」
「何?」

私と一也が聞く。

「実は、今、引っ越しを考えてるんだ。」

引っ越し?

「新しく、家を建てようと思って、
皆の部屋もちゃんとあるぞ。」

「皆の部屋?」

どういうこと?

「そうなの。凛ちゃんの部屋もあるのよ。」