「桃さんはそれが気に入りましたか?」

会長があたしの手の中にあるかんざしを覗き込むと言った。

「えっ、いやあ…」

ごまかすように笑いながら値段を見る。

3000円。

あたしの月のおこづかいは5000円だ。

大半がこのかんざしで消えるな…。

そんなことを思ったあたしに、
「ちょっと貸してください」

「あっ…」

会長があたしの手からかんざしを奪った。

「えっ、あの…何を?」

戸惑っているあたしに会長の手は1つに束ねていた髪ゴムをほどいた。