「着替えはうちの方で預かっておくさかい、デートが終わったらいつでも取りにきてな」

女将さんが奥の方から出てきた。

で、デート…。

会長のヤツ、女将さんに何か言いやがったな…?

チラリと恨みのこもった視線を会長に向けたら、デレ甘の笑みで返されたのだった。

「…ッ」

悔しくて何もできないあたしに、
「女将さん、ありがとうございます」

会長が女将さんに頭を下げた。

あたしも会長に続けて、
「ありがとうございます」

女将さんに頭を下げた。

「ほな、ゆっくり楽しみなさいね」

「はい、行って参ります」

会長が女将さんにそう言ったのと同時に、
「ッ!?」

会長があたしの手を繋いだ。