着物に着替えること、約1時間。

「お待たせしました」

すでに着物に着替えて玄関で待っていたあたしに奥の方から着物姿の会長が出てきた。

会長は白地に黒い縦線が入った着物を着ていた。

うーむ…会長は私服よりも制服よりも、和服の方が1番似合っている。

そんなあたしの頭の中を呼んだのか、
「桃さんもよくお似合いですよ」
と、会長が言った。

「あー…ハハハ…」

あたしは今自分が身につけている着物に視線を落とした。

薄ピンク色…つまり桃色である。

そこに濃いピンクの桜の模様が袖や裾に入っている。

ちなみにこの着物を選んだのは女将さんである。

京都にきても、桃繋がりらしい。