そのために制服から着物に着替えるって言うの?

戸惑っているあたしに、
「白鳥のお坊ちゃんの頼みやったら、断れませんわ。

いつもうちをごひいきにしてもらってますから」

女将さんは微笑みながら会長の頼みをうなずいた。

うなずいちゃうのかよ…。

もはや何なのかあたしにはさっぱりである。

「ほな、用意しましょう。

えーっと、お嬢さんの名前は?」

女将さんが聞いてきたので、
「平岡桃です…」

自分の名前を言った。

「先に平岡さんの方から着替えを済ませましょうか」

女将さんが言ったので、
「あー…はい…」

もう何にでもなれ!

ほとんどヤケクソであたしは首を縦に振ってうなずいた。