女将さんは上から下まで視線を動かしてあたしを観察した後、
「愛嬌がある人ですな」

一言微笑んでそう言った。

「でしょう?」

会長もうなずいている。

うーんと…これは女将さんに認められた、と言うことなんでしょうか?

「あ、そうやわ。

今日はどう言ったご用件でお訪ねになられたんですか?」

女将さんが思い出したと言うように会長に質問した。

「ええ、実は観光をするために着物に着替えたいんです」

会長が女将さんの質問に答えた。

「えっ、着物?」

それも、わざわざ観光をするために?