衝撃を受けているあたしに、
「ごめんくださーい」

ガラガラと戸を開けて会長が呉服屋の中に入って行った。

「えっ、かいちょ…!?」

いかにもなれている様子で中に入った会長に、あたしは戸惑うしかなかった。

「はーい、いらっしゃーい」

奥の方から出てきたのは、着物を着た丸顔の女将さんだった。

「おや、白鳥さんとこのお坊ちゃんでいらっしゃいましたか。

今日はどないしはったんどすか?」

女将さんが会長の顔を見て微笑みながら言った。

笑うと目尻にしわができた。

「今日は修学旅行で京都の方に遊びにきたんです」

会長がそう言うと、
「まあ、それはそれは」

女将さんは嬉しそうに笑った。