唇が離れた。

「ただでさえあなた不足なのに、またあなた不足になる」

会長は呟くように言って、息を吐いた。

さっきから言ってる“あなた不足”って何なんだって言う話である。

あたしは鉄分か糖分か。

心の中で会長に毒づいた。

「明日…」

会長が呟くように言った。

「明日?」

あたしは聞き返した。

明日1日は自由に京都観光である。

それがどうしたと言うのだろう?

そう思っていたら、
「明日1日、僕と一緒にいてくれませんか?」

会長が言った。