会長は少し考えた後、
「ことと次第によっては…」
と、呟くように言った。

「じゃあ、もう2度とあたしに近づかないんですね?」

続けて確認したあたしに、
「やっぱり、無理です」

「――ッ…」

さえぎるように、会長があたしと唇を重ねた。

抱きしめている腕がさらに強くなる。

抵抗しようと思えば、いつでも抵抗できるのに。

逃げようと思えば、いつでも逃げることができるのに。

なのに、逃げたくないって思ってるあたしがいる。

会長から逃げたくなくて、抵抗できないあたしがいる。

あたしは一体、どうしたいのだろう?