「おや」

会長は今思い出したと言うような顔をした。

「委員長もフリだって言ってたじゃないですか」

そう言ったあたしに、
「フリ…ですねえ」

会長は呟くように言った後、あたしの頬に手を当てた。

「な、何ですか」

会長はあたしの顔を覗き込んだ。

「かわいいあなたを目の前に大人しくしてるほど、僕は優しくないんです」

「…はっ?」

そう言った会長にあたしは訳がわからなかった。

かわいいあなたとか、大人しくしてるとか、優しくないとか…言ってる意味が全然わからないんですけど。

「桃の匂いがする…」

会長の顔が近づいてきた。