「別に、背中を向いていても練習ができると思いますよ?」

あたしは返した。

「だけど僕としては平岡さんの顔を見た方が練習しやすいんですよね」

あたしの前に影ができた。

影の主に顔を向けると、
「ね?」

台本を持って、ニコッと笑顔を見せる会長が目の前にいた。

「あ…」

「あ?」

ガタンと椅子から立ちあがって、お弁当箱を持った。

会長と距離をとる。

「あんまり近づくと、またお弁当箱で殴りますよ!?」

あたしが言ったら、会長は不思議そうな顔をしていた。