「『眠れる森の美女』かー…。

はあ、なんてロマンチックなんだ…」

真里は頬に両手を当てて、はあと恋する乙女のようにため息をもらした。

「はあ?」

ロマンチック…と言えば、ロマンチックかも知れない。

お姫様とか王子様とか、妖精が出てくる訳だし、結末はキスで…って言ってもあたしたちは“フリ”で、だけど。

冷めた目で見ているあたしに、
「だってね、少女マンガでは定番なんだよ?

法則と言っても過言ではないんだよ?

王子様役の男の子とお姫様役の女の子は最後は絶対に結ばれるんだよ?

まるで物語に導かれるように…」

真里は憧れのため息をもらす。

…そうだ、忘れていたよ。

真里は、少女マンガ大好き。

恋に恋する乙女なんだと言うことを。