「ま、迷子になった…」


私は手元の地図に目を向けて立ち止まった。


駅から地図通り歩いてきたはずなのに。


人通りの少ない路地裏みたいなところにでてしまった。


自慢じゃないが私は地理は絶望的に弱い。


「ここどこぉ?」


やばい。本気で泣きたくなってきた。


もう小一時間こうして歩き回ってるのに一向に目的地どころか、住宅街も見えてこない。


見知らぬ街ということもあり、不安が一気に募る。


地図には目的地に、赤丸印で分かりやすく“ここ”と記されていた。