春を睨み付けていると。


樹と呼ばれた男の子はゆっくり私の方へ視線を戻した。


同時に漆黒の綺麗な髪がさらりと揺れる。


眉にかかった前髪の下から、薄茶色がかった瞳が私の目をとらえた。


ー…ドキンッ


不意に、胸がなった。


だって本当に顔立ちが、整っててかっこいいんだもん!


そんな瞳に見られたら、多分無反応の女の子はいないと思う。


うん、少なくとも私は。


「見とれてんじゃねぇよ」

樹の言葉にはっと我にかえる。


「べっ!別にっ、見とれてないし!!//」


私はふいっと樹から視線を反らした。


嘘です。見とれてました。