しばらくして、ガチャッと扉が開く音がした。


「あー、樹お帰り」


春の声。


「あ"?春、てめぇ女連れ込んでねぇだろうな」


あからさまに不機嫌そうな樹と呼ばれた男の子の声。

…ん?


私は耳を疑った。


「嫌だなぁ、帰ってきてそうそう。連れ込んでるわけないじゃん」


「どうだか。お前が連れてくる女はうぜぇんだよ。香水くせぇし、ベタベタ触ってくるし」


「つ、連れてきてないよ?あ、あはは、あはははは」

言葉につまる春に男の子は軽くちっと舌打ちした。


疑っているんだろう。


明らかにおかしいもん、春。


意外と嘘下手なんだね(笑)