新学期から同じ高校に入学するんだし、“君”付けで呼んでたら変だよね。


「だから、俺は初って呼ぶね♪」


「ずるい!僕も!」


二人はわけの分からないことで言い合っている。


「ふふっ」


なんかいいなぁ、こうゆうの。


“兄弟”って感じ。


そう思うと自然と笑みがこぼれた。


「あ、そうだ。来斗ー」


春く…間違えた。


春が本を読んでいる男の子に声をかけた。


「…」


男の子は無言のまま、じっとただ本に目を向けている。