私はリビング内を見回してみた。


高そうなアンティークばかりがそこら中に置いてある。


コップやソファー、テーブルまで、一流のブランド素材のものでできている。


そういうのにうとい私でも、すぐに分かった。


「ん…?」


視線をずらしていくと、もう一人いた。


さらさらな黒色の髪をうっとおしそうに手でどけながら、これまた高そうなソファーに座って本を読んでいる。


どんな本を読んでいるのか気になった私は、背表紙をじぃっと見つめた。


けれど、どんだけ頑張っても男の子は本を膝の上に置いて読んでるから、見えない。


男の子はこちらを見ようとはしない。