キョロキョロと辺りを見渡しながら、靴を脱ぎ、しゃがんでそれを整えた。


前の家だったならば、そのまま靴は方向がバラバラのまま脱ぎ捨てられていただろう。


「こっち来て」


春君は長い廊下を黙々と歩いていく。


私はあわてて春君の後を追った。


へ、部屋何個あるんだ…?

廊下を進んでいくと、壁の両側にいくつものドアがあった。


ざっと10数個ぐらい。


私の前の家は1LDKの格安アパートだった。


一個の部屋に必要最低限のものだけ置いて、ベッドは一つ。お母さんと二人で「きついー」って笑いながら寝てた。