マコトと話してみて、わかった。



マコトには、実の父親の記憶はない。



この目の前の住職さんを、実の父親だと信じている。



……殴られた記憶も、この人にされたことだと、信じている。



本当は、違うのに。

恨むべきなのは、俺の親父なのに。



この人は、自分が誤解されたままでも、マコトに本当のことを知らせないことを、選んだのだろう。