こんなふうに、家族を変えてしまった父親の浮気相手が、初めは憎かった。



そのうち、触れることがタブーな話題になった。



覚えているけど、忘れているような、感覚。



向こうにも、家族がいるんでしょう?父さん。



そう尋ねると。



「父さんは、つかまってしまっただけなんだ。家族は、お前と母さんだけだと思っているよ」



そう答える父さんに、安堵より、違和感があった。



こんな大人には、なりたくない。



そう思い始めた最初は、多分、あのときだったんだと、思う。