昔は。



まだ父親の浮気なんて知らなかった頃は。



俺は親父とキャッチボールをするのが大好きだった。



肩車をしてもらって、夕日を見上げることが、大好きだった。



あの頃の、はしゃぐ俺に笑いかけてくれた、若い親父の笑顔は、大好きだったのに。



今では、どうしてもあの頃の笑顔と、今の父親の笑顔が、同じものに見えない。


多分、俺の気持ちが変わったせいなんだろう。