「ありがとう…陸さん」



優しいひと、なんだ。


初めて会った、陸さんに較べてまだまだ子供なボクに、こんなに真剣に、関わってくれる。



「ボク、陸さんに会えて、よかった」



「……ごめん」



「え…?」



陸さんの手が、ボクの頬を抑える。



「ずっと、君のこと、見ていたんだ」



背中越しに覗き込むように、陸さんが顔を寄せる。


……。


「…ごめん」


……今の、って。


「気持ち、悪かった?」


困ったような顔をして、ボクの前に立った陸さんが、尋ねてくる。



どうしていいかわからない。



だって。



キス、なんて、初めてだから。