え…?



後ろから、抱きしめられて、ボクはびっくりして立ち竦んだ。


「陸さん…?」



「マコトくんは、いい子だよ」


すぐ耳元で、陸さんの深い声が、囁く。


「とっても、いい子だよ。優しくて、人の痛みがわかる子だ。だから、君は、このままでいいんだよ」


ダメだ。


どうしても、涙が、溢れてくる。


人前で泣きたくなんか、ないのに。



でも。



嬉しい。



陸さんは、ボクのことなんて、何も、知らない。



だって、今日初めて喋ったんだから。


それでも、こうやって、ボクがボクのままでいいって言ってくれる人。


そんな人がいるなんて、いままで考えたこともなかったから。