「マコトくんは、お父さんが嫌いなの?」


歩きながら、陸さんが尋ねてくる。



ボクは、空を見上げてから、首を横に振った。


星が、明るい。


「嫌いじゃないです。男手ひとつで、ボクを育ててくれた。でも、ボクは父さんの望むようにはなれないから。……時々、小さい頃の夢を見るんです。父さんに、ひどく怒られて、何度も殴られた」


「……え?」


陸さんが、軽く、息を飲む。


言わない方が、よかったかな。


ちょっとだけ、ボクは後悔する。


なんでボクは、こんなに陸さんに、誰にも言ったことがないことまで、話しているんだろう。