だから。


こうやって、バカにする訳じゃなく、かわいい、って言ってもらえると、自分を見てもらっている気がするんだ。


「あ。ボク、佐野川です。佐野川誠」


「佐野川くん、って、もしかして大学の裏の、白門寺の?」

「知ってるんですか?」

「そりゃ、もう3年以上大学に通ってるし。地元みたいなものだよ。……そっか、だから、大学より、跡継ぎか」


…陸さんって、どんだけボクたちの話聞いているんだろう。

ちょっと可笑しくなって、ボクは笑った。