ボクは、頷いた。


「大丈夫だよ。歩けるよ」


自分に言い聞かせるように、言う。

動けないなんて、言えない。

吉田にも、林くんにも。
クラスのみんなにも、迷惑かけないように、しなくちゃ。


ゆっくり、立ち上がる。
血の気が引いて、目の前が暗くなったけど、ふらつかないように、一生懸命足に力を入れた。


また、前が見えなくなる。
深呼吸をしても、なんだかうまく息が吸えない。
手足の感覚が、少しづつ、鈍くなってくる。

この感覚、入院していたときにも、一回あった。
酸素のチューブを勝手にはずしちゃった時。
身体が、どんどん言うことをきかなくなって。


だから。
そうなる前に、早く、ここを出なくっちゃ。


絶対に、倒れたくなんか、ない。