ボクが、小さい声で聞くと。
おじさんが、ちょっと、林くんを見た。


「おい、将。おまえが言ったのか?」
「言ってねぇし」
「違うんです。あの、入院しているときに刑事さんが来て、ボクのせいで、って」
「被害者に、そういうこと言うかな、あいつらも」


おじさんが、ちょっとため息をつく。
そうしてボクに、笑いかけてくれる。


「ぜんぜん、坊主には関係ないことだから、気にするな。けじめ、ってやつだから」
「けど親父、会社だって、残ってくれって言ったんだろ?事件にだってならなかったんだし。俺、親父には仕事、続けて欲しいよ」
「ボクからも、お願いします。ボク、ボクのこと助けてくれたおじさんが、そのせいで仕事ができなくなっちゃうなんて……ごめんなさい、どうしたらいいかわかんないけど、ボクでも、できることあったらするから、だから」
「……ほんっとに坊主は、お人好しなんだなあ」


おじさんが、呆れたように、笑う。


「あんまり人が良すぎても、長生きできないぞ」