「林くん。それよりちょっとだけ、ボクもお父さんに会わせてくれないかなぁ」
「ああ、親父に?いいけどさ。……おまえは、いいのか?」
「どうして?」
「どうしてって、やっぱ、いい思い出じゃ、ねぇだろうしさ」


目をそらして、言いにくそうに、林くんが、言う。
ああ。
ボク、林くんのことも、傷つけてたんだ。

そうだよね。
ボクのせいで、お父さん、仕事なくして。
林くんだって、嫌なこととか、周りから言われたのかもしれない。


「ごめんね。林くん」
「だから、おまえがあやまることじゃねぇって」
「そんなことないよ。ボク、林くんや林くんのお父さんに、悪いことしたって思う。だから……お父さんが会いたくないかもしれないけど……」
「そんなことねぇけどさ。でも、昨日みたいに、親父の前で土下座したりすんなよ」


林くんが、笑う。
林くんって、強いよね。
ボクだったら、やっぱり、こんなふうに普通になんていられないかも、しれないよ。