グラウンドのコースに、立つ。
なんだか、わくわくする。
ただの、練習なのに。

大丈夫、だよね。
だって、ちょっとは、階段上がったり、練習してるし。


「言っとくけど、全力で飛ばすなよ。ある意味、おまえ、秘密兵器なんだからさ」


え?
林くんが、ちょっと笑いながら、ボクに言う。
秘密兵器?
どういう意味だろう。


吉田が先に走って、ボクにバトンをつないでくれる。
渡す前に、吉田がわざと足を緩めたのが、ちょっとだけ不本意だったけど。
バトンを受け取って、ボクは、走り出した。


思ったより、足が、軽い。
よかった。
グラウンドの3/1位までは、ちょっと苦しいくらいで、走れた。

だけど。