走れる?
この、グラウンドで?


「おい林、マコトを巻き込むなって、前にも言っただろ?」


吉田が、ボクと林くんの間に入って、言う。
吉田に睨まれても、林くんはちっとも気にならないみたいだ。


「一応補欠なんだからさ。本気出せとは言わないけど、一応トラックで試しに走るくらいは、大丈夫だろ」
「ダメに決まってんだろ。歩いて学校に来るのだって苦しそうなんだぞ。医者にだって止められてるし」


吉田。
ボク、吉田にとっても心配かけちゃってたんだね。
ごめんね。


「あのね、吉田。ボクもう、ずいぶん調子いいんだよ。学校に来るのも、前よりずっと早く歩けるようになったし」


だから。
走ってみたい。

今、わかったんだ。
結局ボクは、走りたいだけなんだ。
陸さんのこととか、もちろん本気だったけど。
でもそんなこと抜きにしても、ボクは、ただ走りたかったんだ。