吉田や、林くんが走っている姿を、ボクは見ていた。

さすがだなぁ。
バトンの受け渡しもスムーズだし、何といっても林くんはずば抜けて速いし。
これなら、うちのクラスが1位になれるかも。

「おい、誠」

林くんからいきなり名前を呼ばれて、ボクはびっくりした。

「あ、おはよう、林くん」
「一回くらい、走ってみるか?」

近づいてきた林くんが、背中越しのグラウンドを指さして、言う。

ドキン、と、ボクの胸が、ひとつ大きく鼓動を打った。