「ま、それならいいや。今はさ、マコトは身体を治すことが、いちばん大事なんだからさ。そのための手伝いなら、俺も、美智子もいくらだってしてやるから」
「うん。ありがとね」

ボクが言うと。
吉田は笑って、ボクの頭をポン、って叩いた。
それから、くしゃっ、と撫でられて、ボクはちょっと首を竦めた。

「あ。みっちゃん、あの後、大丈夫だった?」

思い付いて、ボクは吉田に訊ねた。
なんとなく、回りに人がいたりして、聞きにくかったんだよね。

吉田が、少し、赤くなる。

「別に、なんともないよ」
「そうなんだ。だったらよかった」

あの気丈なみっちゃんが泣くくらいだから、きっと怖くて、つらかったんだろうな。

「あんな奴に、美智子のこと傷付けたままになんか、させねえよ。……俺も、ちょっと臆病だったと思うけどさ」

あ。
そっか。

なんとなくわかって、ボクは吉田から顔をそらして、前を向いて歩いた。

吉田、みっちゃんとキス、したんだ。