ボクは、いつだって、あきらめることが得意だったのに。
どうして。
いつの間に、こんなに、あきらめられなくなっちゃったんだろう。


こんなに、陸さんのこと、好きになっちゃったんだろう。


「……おまえ、本当に、走れるか?」


林くんが、ボクのことをじっと見つめて、尋ねる。


「うん」


ボクは、頷いたけど。
林くんは、変わらず、ボクを見ている。


「……なわけ、ないよなぁ」
「大丈夫だよ」
「どのみちおまえは補欠なんだからさ。誰か怪我したり、具合が悪くならなければ、走ることはない」
「……うん」