林くんが、屋上にしゃがみこむ。
夕暮の空を見上げて、また、俯いた。
そうして、顔を上げる。

笑っているはずなのに、林くんの目が、なんだか泣きそうに見えて。
ボクはなんだか、胸がちょっと苦しくなった。

「おまえみたいなお人好し、絶対長生きできねぇよ。……俺が、なんでおまえのこと、目の敵にしてたと思う?」
「え……?」

目の敵に、してたの?
そりゃ、ちょっと、きついところがあるなぁ、って思ってたけど。
でも、林くんの言うことは、いつもちゃんと筋が通っていたから、ボク、気付かなかった。
……嫌われてるのかなぁ、とは、思ったことあるけど。

「夏休みに、おまえのことはねたトラックの運転手さ。……俺の、オヤジなんだ」