ふっ、と。

腕の中のマコトの膝が、急に折れた。
支えきれずに、俺の腕から、マコトが離れる。

地面に座り込んで、マコトは、俯いている。


「マコト。……そんなに、よかった?」


声をかけると、マコトの肩が、震えた。


「わかっただろ?俺は、マコトとだって、こんなことができる。
……弟だと、思っていないからさ。
いくらマコトが、俺に優しい兄を期待したって、無理なんだ。
めんどくさいんだよな、そういうの」


だから。
マコトは、俺のことなんて、嫌いになればいい。
嫌いになって、忘れて。
有希子ちゃんみたいな可愛い子と、優しい恋愛をすればいい。

そのときは。
俺は笑って、マコトを祝福してやるから。


マコトが、顔を上げる。
目を合わせることが怖くて、俺は、マコトに背を向けた。