大切な友達を傷つけられて。
自分勝手に別れを告げられて。
だから、怒っているだけなんだ。


だったら。


「ダメなんかじゃないさ」


快楽だけのキスの振りをして。
それでも、マコトに、最後のキスを。

俺は、マコトの腕を掴んで、引き寄せた。
抱きしめて、その短い髪を掴んで、上向かせる。

マコトの、吐息の匂い。
冷えた唇と、熱い、息。
貪るように、舌でマコトの歯列を開いた。


マコトが、好きだ。
こんなに、マコトのことが、好きなんだ。

このまま、時間が止まってしまえばいい。
離れたくない。
このキスを、終わらせたくない。


……だけど。

これが、最後の、キス。
きっと、マコトにとっては、傷つく意味しかないキス。