俺とマコトをつないでいた、唯一のもの。

手が震えているのを気付かれたくない。

俺は、マコトから、携帯電話を受け取った。


「……陸さん。ひとつだけ、ワガママ、言うね」

「マコト……?」

「ボクに、キスして?」


え……?

瞬間、景色さえ消えた。

マコトの言う意味が、わからない。

だって、マコトにとっては、俺は、ただの兄で。
マコトに一方的に恋情を抱えているのは、俺だけで。
だから、それが耐えられない時が来ることを恐れて、俺は。


「何、言ってるんだ?マコト?」

「ダメなの?みっちゃんにはしたのに。ボクには、ダメなの?」


……ああ。そうか。
マコトは、怒ってるんだ。
俺にキスしてほしいわけじゃない。