それでも。

マコトにとって大切な友人である彼女を、俺のせいでマコトから引き離すわけには、いかない。

このまま帰したら、堀井さんは、マコトとまでぎくしゃくしてしまうかもしれない。

……ほんとうに、俺は、どうしてこうやって周りの人間を傷つけてしまうんだろう。


「……私、まこちゃんのこと、好きだって……見てて、分かりますか?」


ためらいながら。

堀井さんが言った言葉の意味が、一瞬、わからなかった。


「それは……」

「洋平くんも、そう、思ってるのかなぁ」


堀井さんが、真っ赤になった目の周りを擦りながら、言う。


「だから……キスして、くれないのかな」

「それは、たぶん違うよ」


多分吉田くんは、堀井さんがマコトを好きだったことには、こだわらないと思う。

こだわらない、という言い方は、おかしいかもしれない。

彼は、多分「マコトのことを好きな美知子ちゃん」が好きなんだ。