「どうして、そんなことが言えるのかな」

「だって、陸さん、まこちゃんのこと好きだもの。好きな人のこと、傷つけたりできない人だもん」

「買いかぶりすぎだね。俺だって、欲望はある。その場に、欲望を満たせる対象があれば」



堀井さんの腕は、柔らかかった。

強く引き寄せる。


「堀井さんてさ、ホントはまだ、マコトのこと、好きなんだろ?」

「そんな……っ!」


言いかけた唇に、少し強く噛みついた。

こわばった身体が暴れださないように、抱きしめる。

硬く噛みしめて、閉じたままの歯列に、舌を這わせた。


このまま、ひどく傷つけてしまえば。

二度と、俺の前にこの子は来ないだろう。