「誰?」

「それが、お若い女性の方で。堀井さん、とおっしゃってますが」


マコトといつも一緒にいる、勝ち気で明るい少女の顔が、浮かぶ。

ただでさえ、うちに女性が訪ねてくることは珍しいから、さぞ佐伯さんも戸惑っただろう。


「どうしましょう」

「ひとりで、きているのかな」

「ええ。おひとりのようですが」

「そっか。少し、上がってもらってもいいかな」

「わかりました。応接室の方にご案内しておきます」


佐伯さんが、一礼してドアを閉める。

佐伯さんの態度が慇懃な時は、内心、ちょっと納得していない時なんだよなぁ。